シティーハンター 感想・待ちつづける少女
シティーハンター原作版の感想です。少々辛口のところもあるかもしれません。
エピソード6・待ちつづける少女(19〜21話、JC3巻)
政治家の罪を被り別人として生きる男に、人生をやり直させるため獠が立てた計画とは⁉︎(シティーハンタージャンプより引用)
これは好きな話です。
獠が殺しの仕事を受ける——それには条件がある、その条件とは? というのがテーマのひとつですが、それをゲストヒロインのさやかに質問させる、という切り出し方がいい。
そして、依頼主に会う場面で、娘の道子を出すのがものすごくいいです。道子の孤独、依頼主萩尾の孤独、苦悩、獠のやさしさが滲み出た名場面だと思います。
獠の特技ピンホールショットが出るのも読者を圧倒させるし、何より面白かったのは萩尾を救う方法です。
本気で撃って、死体隠滅に見せかけて香ちゃん達に救わせる……という凝った方法が読んでいて興奮します。
これが途中で上手くいかなくなり(お約束といえばお約束)、獠が「香……」と考えるのもいいですが、香ちゃん達が上手くこなして、さやかが怒った後の香ちゃんのセリフがいいですね。
「…ちがうわ……
獠は車が動いた時全てを悟ったのよ
あたしたちが萩尾さんを救出できる…と信じていたのよ!!」
この台詞、読者だけでなく作者も香ちゃんにぐっときたんじゃないかと思うのですがどうでしょうか……。
ここまで読むと「冴羽獠が殺しの仕事を受ける条件」がなんなのか、自然と読者にも伝わります。読後感も良いです。
さやかと香の冒頭の場面は以後の定番ギャグにも出てくる「香が男と間違えられる」というものです。
この回のやり取りで思うのが、女性キャラのやり過ぎ・言い過ぎを獠がたしなめるというのが多いんですね。香ちゃんも妹キャラみたいな感じ。
香ちゃんがオカンキャラクターになるのはいつくらいなんだろう……。
笑ったのが獠が手品をする場面です。確かここ一回だけだったのが残念。中盤以降は獠のギャグは「もっこり」が主流になるので、なかなかこういうギャグは見られないんですよねー。
アニメ版ではさやかの役割がすべて香ちゃんに当てられていましたが、それも良かったです。ただ、出番の少ない原作でも十分香ちゃんは良い役所だったと思います。