日暮日記

日々思う事を書いていきます。

シティーハンター感想・美人キャスターの実力

シティーハンター原作版の感想です。少々辛口のところもあるかもしれません……。

 

エピソード19・美人キャスターの実力(第99〜104話・JC12巻)

政治家のスクープを狙うキャスター・礼子の護衛をする獠は、何かにつけ反発されて…。(シティーハンタージャンプより引用)

 

この回はヒロイン礼子と香ちゃん、そして獠の魅力的なエピソードがバランスよく散りばめられています。これ描かれた時って北条先生20代ですか? 30代ですか? いずれにしても神がかっていると思います。

礼子のエピソードだけでも、

1.男に負けまいとする女性キャスターで、周囲から浮いているが成長し周囲と調和するようになる。

2.獠に反発するが、徐々に惹かれるようになる。

の、2つ入っているのに、香ちゃんと獠の

1.周囲からは喧嘩ばかりと見えているが、実はお互い信頼しあっている。

が入ってさらに獠の、

1.依頼人に下心丸出しで接近するが、実は影でこっそり助けており、ある程度踏み込んだら距離を置く。

というエピソードまで入ってて破綻しないって、すごいです。

テンプレートとしてこれらが確立したのがこの頃でしょうか? ずっとパターンで行くことも出来たのに、この後時間の流れを設けていろんな違うエピソードを作っていくところが作家魂だと思います(でも、『エンジェル・ハート』はやり過ぎだったなぁー。他で触れることがあるかもしれませんが)。

美人キャスター礼子の設定は今に通じるものがありますね。顔だけで判断されたくないという……。多分美人キャスターブームの走りだったのでは。今ではそれも普通になっていますからね。

あと今読んで思うのが獠が香にパンプスを履くなといい、香が私だって女だからおしゃれをさせろというところが、面白いなあと。パンプスがお洒落の象徴で、日常的に履くものだったんですね。今でもパンプスを履く人はいますが、日常的に履くことはあまりなくないですか? 靴屋さんに行ってもパンプス自体フォーマル用がメインだし。でもパンプスが女性性の象徴であること自体はあまり変わらないと思いますけどね(perfumeを見ているとつくづく思う)。

香ちゃんと獠の信頼関係は非常に好きなのですが、よく読むと興味深いですね。

普段は喧嘩ばかりで本音を言い合わないのですが、実は信頼し合っていることをお互いが知っているという……(それは友情か愛情かのどちらかだと思いますが)。お互いが知っており、

「ホントに危ないときには助けてくれる……なんて言ったら信じる?」

と香ちゃんが言って、

「信じないよーだ」

と獠が返しても、その手は助けあげている。なんというメッセージの多いコマでしょう。読者は獠の行動を信じるから、獠の香への信頼は揺るがないと読んでいて思います。1コマの情報量の多さ、すごくないですか。そしてこの二人はどんなに喧嘩しても、その信頼関係は絶対に揺るがないとこの時点で思わせるところがすごい(だから二人の信頼関係が揺らぐ回は物語になるし、非常に読み応えがあります)。

この回はアニメもなかなか面白かったので、おすすめです。