日暮日記

日々思う事を書いていきます。

シティーハンター感想・とんだティーチャー

シティーハンター原作版の感想です。少々辛口のところもあるかもしれません。

 

エピソード8・とんだティーチャー(第29〜35話)

ライバル会社に命を狙われている大企業の令嬢は、護衛についた獠を白馬の騎士に重ね……。

シティーハンタージャンプより引用)

 

 

獠が心を閉ざした美女のボディーガードをしながら、その美女の心も開いていく……という構成は、前回の佐藤由美子回と同じです。違うのは、獠が恋愛モードに入っていないこと。この回のヒロインの片岡優子には、佐藤由美子よりもより強く「こう生きるべき」という指標を示します。それは「自分の環境から逃げるな」ということ。初めは反発する優子ですが、獠に助けられてから心を開くのがいいです。

この時の獠のセリフもかっこいい。

「おれは   そのために来た!」とか、期間限定ヒーローだと宣言していてしびれます(ヒーローたる所以のアクションもなかなかかっこいい)。

北条先生のテーマのひとつである「血のつながりのない親子」が出てきたり、獠のピンホールショットが出てきたり、いろいろ面白いこの回ですが、面白いのが香ちゃんまで血のつながりのない獠の家族になっていたこと(しかも弟)。

犯人が大物だったところもいいですが、捻ってて好きなのは義理の母親を脅迫していた写真のトリックです。盗まれた死体を悪用してひき逃げ事件を作り出し、その写真をネタに脅迫するとか小技が効いてて好きですね。

教授と香ちゃんのハンマーが初めて登場します。この回は獠の過去もちらほら出てきますが、それがまたかえって獠のミステリアスな感じを強調しています。

この頃の獠は(コメディに走ってても)ちょっと謎めいた感じがありました。獠と香の関係も、何もわからない素人の香ちゃんを獠がフォローするという感じでした。よく考えたらこの関係は、強弱こそあれ最終回までずっと変わらないのですが、獠の変化もさることながら香ちゃんの変化の方がハンパないので最終回付近はそれがちょっとわかりにくいんですよねー(というか、獠が香ちゃんをとても好きな描写が強く出てくるので、それも分かりにくくなっている要因の一つだと思います)。

この回の香ちゃんは割と読者の代弁者みたいな感じが出てて、こういう役回りも良かったです。あまり香ちゃん自身に踏み込まない香ちゃんの出番って、意外と少ない気がします。