日暮日記

日々思う事を書いていきます。

シティーハンター感想・思い出の渚

シティーハンター原作版の感想です。少々辛口のところもあるかもしれません。

 

エピソード15・思い出の渚(第74〜79話・JC9巻)

映画の女優オーディションの護衛で、冴えない表情を見せる少女を気にかけた獠は……。(シティーハンタージャンプより引用)

 

この回はすごく獠の良さが出た回だと思います。

何がいいって、公開オーディションの護衛の仕事なんですが、20人の女優の護衛をするのに、賄い夫を(香に押し付けられたとは言え)やるのがいい。

冴羽獠のかっこよさのひとつに、ギャップがあると思うのですが、何がいいって、普段は香に敷かれていて色々やっているのに、危機になったらカッコよく決めるところです。

今回の賄い夫も、まず香の言うことを聞いて、そして指示通り賄い夫をやっているのですよね?  冴羽獠が女性に優しいと思うのがここですよ。香を何だかんだ言って立てているのがいいです。断ることだって出来るのに。

あとさりげなく描いてますが、女優たちが危険を感じて帰ろうとする時獠が引き止めにかかりますが、これが失敗し、香の作戦が成功するのがすごいバランス感覚だなと。これで獠が成功していたらあまり面白くないし、女性にも受けなかったと思います。これをギャグで持ってくるのが、北条先生の優れたバランス感覚だと思います。

ヒロインの悦子ちゃんは素朴な感じが魅力的。獠に父親を重ねて見ているあたりが、ひと夏の恋を感じさせなくていいです。シティーハンターって、獠とヒロインが本気で恋をしたらまた難しくなると思うんですよね。香がいるからっていうのが大きいですが、いなくても、ヒロインに恋をしては別れだったら007みたいな感じになり、ここまでの人気はなかったのでは……(昔の浅見光彦みたいに常に振られるって方がまだ人気が出ると思います)。

柴田監督と悦子ちゃんの別れは、やっぱりハッピーエンドの方がよいかな。でもこの話は最後の最後に、香が獠を誘うというくだりが出てきます。これに驚きですよ。

「そんな憎まれ口たたいているとなぐさめてやんないぞ!!   今夜はふたりっきりなんだぜ……」

とか、香ちゃんが言ってるんですよ!あの香ちゃんが!

これって、獠が自分のことを女性として見ていると、本人が自覚していると出てこない台詞ですよね〜。シティーハンター二人の微妙な関係(しかしそこがおしゃれ)は、この辺りから出てきたってことですね。